- 2011-10-05 (水) 20:00
- 雑貨
「蜈蚣(むかで)・蝮蛇(まむし)・蜂・蚤・蚊・南京蟲・毒鼠(どくねずみ)・
狂犬(やまいいぬ)・その他一切の毒蟲や獣類に咬まれたり刺されたりした時に
之を瘡面(きづぐち)にあてますと毒気を吸ひとる薬石です。」
なるほど。虫さされ動物の咬み傷の万能薬のようです。
英文でも書かれているのは、海外に対しても輸出するか、
土産物として販売されていたのでしょうか、
ケースから出して薄紙を開くと、こんな感じ。
石、というよりは墨に近い印象。
「転ばぬ先の用心棒 かまれた時の蛇頂石」
とあります・・・うまいんだか下手なんだかわからないコピー。
貳個入り、一包、ケースの中には、一個しか入っていませんし、
2つ入りそうにもありません。
ということは、ケース入りでもう一個入っていたのでしょうか、
「金五拾銭」とあるのに、箱の表には「¥.50」とあります。¥の横の「.」は、
小数点でしょうか、
興味深いのは、発売元です。「鳩居堂」とありますが、
この鳩居堂、銀座の、紙で有名なあの、鳩居堂です。
香筆墨 えのぐ 文房具 とありますから、今とほとんど同じ商売をずっとやっていたんですね。
検索してみたらwikipediaに解説がありました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9B%87%E9%A0%82%E7%9F%B3
文具を扱う鳩居堂がこの蛇頂石を販売した経緯には、
鳩居堂の商品ラインナップが重要だったのではないかと思います。
蛇頂石は、実は石ではなく、人造石で、実際には動物の骨などを炭化させたもののようです。
鳩居堂の扱う、香木や墨と製法や入手ルートが、近かったのではないかと思われます。
今となっては、効能もアヤシイ謎のローカル療法っぽいですが、
発売元は、当時でもかなりきちんとした老舗です。
いいかげんに作ったエセ薬とも思い難い。
やはり当時はこれは本当に薬効があると思われていたのではないでしょうか、
骨董市で偶然手にしたアヤシイ薬から、なぜか文房具に繋がってくるあたり、
我ながら、なかなか良い勘だと思って楽しくなったのでした。
ちなみに、その後で発見した東京都薬剤師会のサイトには説明書付で掲載されていました。
残念ながら私が見つけた箱の中には、入っていませんでしたが、
全文読んでみたいものです。
https://www.tpa-kitatama.jp/museum/museum_11.html
面白いエピソードも
https://blog.goo.ne.jp/kyoto-10nen/e/543be51d19858cf4c466688b4ae840e5