カード式新参考書「動物学」

カード式新参考書「動物学」　東京研究社　発行
またまた、骨董市掘り出し物シリーズ。

タイトルのまんま。カード式の動物学の参考書です。
右端には金属製のリングが付いていて、めくりながら暗記するためのもののようです。

箱には、使用上の注意　が書かれているが、

一　全部または各科の必要なる部のみを同時に携■し得
二　カードを記憶すみの物と然らざる物とに分ち、
　　短時間をも利用して少量宛記憶するを便とす
三　各カードの裏面を連読して読めば各科の教科用書のくわしきものとなり
　　其表面にては其表または応用問題及び実際選題せられたる諸学校の問題集となる、
　　故に前者において学習し、後者において自検すべし。
　　疑問あらば索引によりて検出理解すべし
四　各教科書の項目はほとんど網羅して詳説したれども、
　　尚ほ数学の如きは便宜、各自其等問題を集めて補充すべし。
　　この方便上、「新白カード」をも発売せり
五　表面の実地問題は各高等程度学校の過去十ヶ年間の出題を集めたり
六　各カードは皆其材料の豊富ならんを欲して、
　　写真凸版を応用して印刷したれば、
　　其紙数の少きと形状の小なるとを軽んずるなく充分なる研究を要す。

いや、ほとんど、注意じゃなくて、本書の特長、ってかんじの内容。

じつに風情のある印刷。目次だけで飾れる！

暗記用のまとめカードなので、表や図で短くまとめられています。

いぬ・にはとり・てふ・ざうりむし・・・・もちろん旧仮名遣いです。

各項目には、参考問題が掲載されていて、受験参考書らしいつくりになっています。
凸版で押された図版もなかなか良いですね。

参考問題　「十一　人類と猿との異同如何」　如何、っていいなあ。

参考問題
「五　カヘルにつきて知れるところを記せ」
・・いや、問題の範囲が広すぎでしょう・・と思ったら、
「八　アマガヘルにつき知るところを述べよ」
・・・カヘルの時とは別の答えを要求されてるんでしょうか・・・

参考問題
「九　鳥類と人生との関係を述べよ」
・・・・鳥類と人生・・・考えたこともなかった・・

このカード、一頁ずつかみしめながら読むとなかなかに味わい深い。

発行の趣意
「弊社の、さきに「カード式参考書」三十余部を発行するや、
記憶の便方、装丁の新案、説明の懇切とは普く諸君に認められ爾來、
需要の盛なる日もこれ足らざる好果を収めぬ。弊社、豈、感ぜざらんや。
由来、最前に最前を重ぬるは弊社不換の主義にて、又、聊か諸君に酬ゆる所以なれば、
此に更に完全を期して、新に専門諸大家の執筆と経験深き諸師の助言とに依り、
幾多の改善理想を実現し本カード式叢書を公にせり
即ち弊社苦心数年の結晶が凝って本叢書となりしもの。
重てご愛読の上、易々たる受験合格と為り、優等成績となられんことを冀ふ。」

むむ。意気込みが伝わってきますね。

新カード式参考書は他にもたくさんあるらしい。
新白カードや、新白カード紙、カードボックスも販売されているので、
暗記の必要があることは、自分でカードを追加することもできるようです。

おくづけによると、
大正4年初版で、その後大正9年に修正発行されたもののようです。
お値段30銭。一万倍近い価格で購入したのか・・(^_^;)
印刷所とは別に、凸版製版所が明記されています。

右半分は雑誌の広告。「研究者の十大雑誌」

「室玉の如き新雑誌・女学生」とか、
「日本一の絵雑誌・少額少年」とか、
「何れも面白くて為になる雑誌」だそうで、このあたりも大変興味深いところです。